第11章 漆黒の棺桶
「……さっさとこっちに来いよ。」
登校中。
後ろを振り向いて誠也君は言った。
キャップを深く被った清治君は、何故かあたし達から離れてあるいている。
彼は、それがもどかしくてしかたないのだ。
「おいで。」
あたしも振り向いて笑顔で言った。
「………。」
すると、無言で近づいてくる清治君。
「……なんで桜の言う事は聞くんだよ。」
不機嫌そうに誠也君が言った。
「……別にそう言う訳じゃ……つーか、この格好かえって目立ってないっスか?」
否定する清治君が、ジャージをつかみながら言った。
確かに、言われてみれば目立ってる気がする。
というか、怪しく見える。
「でーじょうぶだよ。隠れるには普通黒だろ。」
それ、夜の話でしょ!?
思わずつっこみたくなる。
「…はぁ?」
清治君は、訳が分からないというように首をかしげている。
「それに、今時銀髪とか目立つぞ。」
あなたの赤い髪もね。
チラリと誠也君の髪を見た。