第11章 漆黒の棺桶
「お前も俺が中坊だからってバカにしてんのか?」
低く吐き出された言葉。
少年は彼から目を離さない。
「中坊とか、んなもんどうでもいい。ただ自分の考えを言っただけだ。」
「………。」
「つーか、どーせ家にも帰れねぇんだろ?」
彼がそう言うと目を反らす少年。
「なら、暫くここにいてもいいぞ。」
煙草の灰を灰皿に落とす誠也君。
「なんで…。」
「ん?」
「なんで助けてくれんだよ…中坊なのに――。」
キュッと唇を噛んで少年はうつむいた。
「あ?…だから、中坊とかどうでもいいんだよ。助けるっつってんだから素直に聞いとけ。」
ガシガシと掻き乱す少年の頭。
ジッとあたしはそれを見ていた。
やっぱり彼は不器用だ。
でも、そこから彼らしい優しさを感じる。
自然と口許が緩んだ。