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レッテル 2

第11章 漆黒の棺桶


「ん……あれ、ここどこだ?」

傷の手当てを終えた頃。
ベットに寝ていた少年が目を覚ました。

「おはよう…じゃなくて、こんばんは。」

笑顔で彼の顔をのぞきこむ。

「……誰あんた?」

訝しげに少年が見てくる。

「助けたのに誰はねぇだろ。」

後ろにいた彼が不機嫌そうに言った。

「助けた?……あぁ、助けられたんだ俺。」

少年が、クシャリと自分の髪を掴む。

「…情けねぇ。」

そう言った少年の声が震えていた。

「情けねぇもクソもあるか。喧嘩が全てじゃねぇんだよ。人は助け合いながら生きていくもんだろ。それに――。」

カチン――

ボッ――

誠也君はくわえたタバコにジッポーで火をつけた。

「喧嘩が好きとかなんかで、あの鼻傷オッサンに手出したんだろ?あいつはバカでオッサンだけどただもんじゃねえ。相手の力量と自分の力量を推し測れねぇようじゃ……喧嘩なんてまだまだはえーんだよ。」

そう言って彼は煙を吸い上げた。

「じゃあ、どうしろって言うんだよ!?」

「動いちゃダメだよ!!」

上体を起こした少年を、あたしは制した。

「前に突っ込むばかりじゃなくて、時には後ろを振り向くことも大事なんだよ。」

「は?」

彼の言葉に、少年は意味が分からないと言うような顔をしている。

「喧嘩 ばっかしても何も残らねぇ。無意味な喧嘩は敵を作るだけだ。それに気付かねぇでいると、いつか痛い目見るぞお前。」

そう言って煙を吐き出す彼。
少年はジッと彼を見ていた。


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