第11章 漆黒の棺桶
「いやジャ。ガキ見つけるまでは帰らん。」
そう言って、善司は煙草をくわえて火をつけた。
「ガキ?」
「中坊じゃ中坊。血だらけの中坊が入ってこんかったか?」
煙を吐き出しながら誠也を見ている。
「……それなら向こうの方に逃げたぞ。」
指差す道の先。
「…ホントか?」
ギラリと光る善司の目が誠也に向いた。
「…俺が嘘ついてどうすんだよ。」
ガシガシと頭を掻く誠也。
「…そうジャな。さっさと行くぞ、ワリャ。」
誠也が指差した方へ、車に乗った善司達が走り出した。
「礼も無しかよ。」
そう言ってひるがえす足。
玄関へ向かっていく。
バンッ――
「誠也君!!」
すると飛び出してきた。
「俺止めたんだけど…。」
その後ろから勇人が出てきた。