第11章 漆黒の棺桶
「―――がきゃあ!!」
午後9時過ぎ。
外から変な声が聞こえてきた。
「な…何?…今の。」
あたしは慌ててベランダに出た。
「どうしたん?」
勇人君も来た。
「知らねぇけど、変な血だらけのガキが俺ん家の庭に入ってきた。」
煙草を吸い終えた彼が、ベランダに置いてある灰皿に煙草を押し付ける。
「それって…助けなきゃ。」
とっさに部屋に戻ろうとするあたし。
「やめとけ。」
彼に腕を掴まれた。
「どうして!?」
「厄介ごとにまきこまれんぞ。」
振り向いて見た彼の顔が真剣だ。
「でも――」
怪我人は放ってはおけない。
「……わかったよ。」
彼はガシガシと頭を掻くと、手を放して部屋へ入っていく。
あたしもついていこうとしたが、
「お前等はそこにいろ。」
と、聞こえてきたので止めた。