第11章 漆黒の棺桶
「――おどれッ!!」
とっさに運転手はブレーキをかけようとするが、時すでに遅し。
宮田は自分の身を車外へ投げ捨てた。
ドサァ―――
勢いよく地面にぶつかり、その反動で転がる身体。
白い車は先へ行く。
ガンッ―――
電柱にぶつかる身体。
痛いなど言ってられない。
フラフラの身体にムチを打ち、必死に足を立たせる。
「クソがきゃあッ!!」
車から飛び降りてくる部下達。
「ハァハァハァ――。」
必死に逃げる宮田。
まるでウサギと亀。
でも、亀は最後に勝つ。
暗闇に隠れるように、民家の庭に入る宮田。
「いたかッ!?」
「いや――。」
「おどれ等何しとったんジャ!!」
間近に聞こえてくる怒鳴り声。
「ハァハァハァ……。」
ますます息が乱れる。
「…うるせぇ!!こんな時間に騒ぐな!!」
すると、家の人間が出てきた。
姿はわずかにしか見えないが、家からの灯りで髪が赤く照らされている。
「あ?誰に言っとんじゃおどれ…ってあん時の秋本言うガキやないかい。」
「―――ン。」
会話が聞こえてくるが耳に入らない。
視界がかすんでくる。
「………。」
目の前が真っ暗になった。