第11章 漆黒の棺桶
「着いたら起こせ。」
「へい。」
そう言って目を閉じる善司。
「…………。」
それを無言でチラリと見る宮田。
暫くして、微かに聞こえてくる寝息。
宮田は誰にも気づかれないように、体勢を変えた。
その間も変わっていく景色。
隣町まで来ていた。
この時、宮田は感じていた。
もうひとつ隣の町にある大きな山に連れていかれることを。
そこで殺されて埋められる。
――殺されてたまるか。
そう思いながら見るドアロック。
不幸中の幸いか、閉まっていない。
前の部下達も後ろを見ていないし、隣の男は寝ている。
しかも、今は住宅街の中。
――今しかない。
宮田は、力を振り絞りドアを開けた。