第11章 漆黒の棺桶
「さっさと乗れやッ!!」
ドガッ――
風俗店街に来た数台の車。
その中のフルスモークの白い乗用車に蹴飛ばされるように宮田は放り込まれた。
そして、乗り込む善司。
厳つい顔にねっとりと血がついている。
隣には血だらけの宮田が、微かに息をしていた。
彼がやったのだ。
「死鬼かなんだか知らんが、調子乗っ取ったら痛い目見るんジャ。頭に刻み込んどけ、…あの世に行っても忘れんようにの。…出せ。」
「へい。」
善司の言葉に踏み込むアクセルペダル。
動き出す車。
周りの景色が変わっていく。
しかし、今の宮田にはそれを眺める余裕も、気力もない。
息をするのでやっと。
――クソッ。
善司にばれないように握りこぶしを作った。