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レッテル 2

第2章 命の灯火



「…お前のせいじゃねぇよ。」

小さく呟くように吐き出す言葉。

そう、お前のせいじゃない。
結局は守れなかった自分が悪い。

震える唇をキュッと噛み締めた。

「………。」

拓は何も言わずジッと眠る を見ていた。

拓は責任感が強い性格だ。
だからきっと、俺と約束した事を守れなかったことが、拓の心を締め付けているのだろう。
それは俺も同じ。

――俺も、約束を守れなかった。

ギュッと手を握りしめ、拓と同じように彼女を見た。

ごめん。

心の中で呟く。
この三文字は本当に卑怯な言葉だと今俺は思う。
ただその三文字と彼女の命の重み、同等だと言えるだろうか。
謝ることで彼女が何もなくいつも通りに笑顔になれるなら、俺は何度だって謝ってやる。
しかし、それはただの自己満足。
結局は助かるわけもなく、ただこうして待つことしか出来ない。

"灯火"

そう思っていたけど、時間が経つにつれ燃やすものがなくなるように、炎もだんだん小さくなりつつある。



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