第2章 命の灯火
三日目の朝。
いまだに彼女は目を覚まさない。
"このまま目を覚まさないんじゃないのか。"
そんな不安さえ押し寄せてくる。
俺はここにいる。
秋本誠也はずっとお前の目の前で帰りを待っている
そう心から彼女に信号を送るが、返事が返ってくるわけもない。
"以心伝心"
そんな言葉があるけれど、俺と彼女は心を通じあえてるのだろうか。
きっと通じあえている。
俺はそう信じてる。
「誠也………。」
横に立つ拓が小さく呟いた。
「……ごめん。」
拓の口から出される弱々しい言葉。
――ヤメロ、オマエノセイジャネエ
心の中でそう叫ぶ自分と、
――ソウダ、コイツガワルイ
もう一人の自分が闘っている。
拓が悪くない事は分かっている。
だけど、誰かのせいにしたい。
そうすることで、"重たくなった心を降ろせる"そう思っている自分がいる。
――結局は逃げてぇだけだろ?
俺って汚ねぇ男だな。
いつの間にか自分の嫌いな者に成り下がってやがる。
本当に。