第10章 喧嘩王子
ガシッ――
カンッカラン―――
地面に落ちるバタフライナイフ。
ミシミシと男の腕に何者かの指が食い込んでいる。
宮田ではない。
チラリと宮田はそちらへ目を向けた。
「ワリャ、ガキ相手になにしとんジャ?組に恥かかすつもりか?」
ギラリと光る目。
「わっ…若――。」
見上げたそこにいたのは、山代組若頭"山代善司"。
ひどく怒ったように眉間にシワを寄せ、男を睨み付けている。
「男はステゴロやろがッ!!」
バコォんッ―――
そう叫んでめり込む拳。
「うがっ――」
ドサッ――
男が地面に倒れた。
「たく、……それにしてもガキ一人に情けないわ。」
ゴキゴキと首を鳴らし、男達を見下ろす善司。
タンクトップのしたから見える龍も彼等を睨み付けていた。