第10章 喧嘩王子
「中坊に負けて悔しくないん?おたく等。」
ヘラヘラと笑いながら上から見下ろす宮田。
地面に倒れる男達が、痛みで唸っている。
「なんだあのガキ。」
「普通じゃねぇ。」
いつの間にか出来ていた野次馬の群から聞こえてくる声。
「ガキだからってバカにし過ぎ。」
少しだけだが、宮田は苛立ちを感じた。
「このままじゃ、兄貴どころか若や親父の面子も丸潰れや。」
そう言って立ち上がった一人の男が、懐からバタフライナイフを取り出した。
開いた刃先が、ネオンの灯りでギラリと光る。
「やれば?」
それを見た宮田は、動じずにジッとそれを見ている。
「じゃかぁしいわ!!ほざくんなら、あの世でほざけや!!」
ナイフを持った男が、宮田に向かって走る。
あまりの距離が無いため、男が近付いてくるのが早い。
けれど宮田は動かない。
ただつったっているだけ。
「死ねや!!」
刃先が胸の前まで来た。