第10章 喧嘩王子
「おっさん、余計なことすんなよ。」
不機嫌そうに宮田は善司を見た。
「誰がオッサンじゃ!!」
叫ぶ善司。
唾が飛んでいる。
「どー見てもおっさんだろ?つーか、誰が助けてくれって言った?迷惑なんだけど。」
「あ?助けた?」
再び善司の目がギラリと光る。
「助けてくれたんだろ?」
「ワリャ、…面白いこと言うのぅ。」
笑いだす善司。
宮田が顔を歪める。
「助けたと違うわ。ワシは汚い真似が嫌いなだけジャ。」
そう言って取り出す煙草。
くわえてジッポーで火をつける。
ユラユラと煙が上がった。
「それとガキも嫌いジャ。」
ガシッ――
宮田の頭をつかみ、フーと宮田の顔に煙を吹きかける。
「誰がガキ――」
「おどれに決まっとろがいッ!!」
ゴシャァッ―――
「あがッ――」
宮田の顔に膝頭が食い込む。
彼の鼻に一瞬曲がったような激痛が走る。
鼻血が吹き出た。
「極道…甘く見んなよ。」
宮田に迫る善司の目が恐ろしく光った。