第10章 喧嘩王子
「ごちそうさまッ!!」
それを遮るように、勇人が口を開いた。
そういやいたな。
恥ずかしくてシンクに顔を向けた。
彼女も恥ずかしそうに顔を背ける。
「ラブラブなのはいいけどさ、パンツは履くこと。」
「は?」
勇人は立ち上がってそう言うと、シンクに食器を下ろした。
「パンツ履いて歩けって言ってんだよ。」
ソファーに向かって歩き出す勇人。
「履いてんよ。」
スエットの中を確認する。
「誠也君……。」
ジッと彼女が見ている。
「だから、ほら。履いてるって。」
チラリと見せるボクサーパンツ。
「変態ッ!!」
ガチャンッ―――
箸が飛んできた。
「兄貴って時々バカだよな。」
ソファーに座った勇人が呟いた。