第10章 喧嘩王子
「だっ大丈夫!?」
彼女が慌てて布巾をとる。
「あぁ、自分でするから大丈夫だ。」
と、冷静を装うも心臓はバクバク。
――アホか俺。そんなんで吹くとか思春期のガキじゃねぇかよ。
そう思いながらテーブルを拭く。
「……どこか悪いの?」
心配そうに顔を歪めながら俺を見ている彼女。
――あぁ、俺ってバカだな。
自分自信に笑ってしまう。
――見た目は大人ぶってもまだまだガキってことか。
ガシガシと頭を掻いて、汚れた布巾をシンクで洗う。
「あのよう。」
振り向かずに口を開く。
「何?」
彼女が今どんな顔をしているかは分からないけど、
「俺ってまだガキだわ。それでもお前は――」
「誠也君が子供でも大人でもどんな姿でもあたしは好きだよ。だって誠也君だもん。」
「……桜。」
苦笑しながら口を開いた俺の言葉をが遮る。
桜の言葉に俺は振り向いた。
そこには大好きな笑顔で俺を見ているがいる。
胸に込み上げてくる熱い思い。
俺は今どんな面しているだろうか。
分からないけど、目は彼女と見つめ合っている。