第2章 命の灯火
二日後。
PM11:45
あっという間に二日経った。
彼女の中での時間は二日前で止まっているのに、無情にも周りの時間は刻々と過ぎていく。
あれから俺はずっと集中治療室のガラスの窓の前にいる。
離れる時は便所へ行く時のみ。
それ以外はずっとそこにいた。
まるで根を張った草のように。
俺以外の人間は交代で見に来ていた。
ただ来ては帰っていく。
実際はそうではないが、俺にはそう感じた。
俺と彼女以外の人間が"無"に見える。
まるで透明人間のように消えて。
"お前は、彼女の放つフェロモンにやられているんだ。"
そう言われると正直に頷ける自分がいる。
というか、フェロモンどころか魅力にすらやられている。
そんな自分になんだか笑えた。