第10章 喧嘩王子
太陽が沈み空が闇に満ちる頃。
宮田は、桜が住む町の隣に位置する町の風俗店街を歩いていた。
彼の生まれ育った町。
土地勘はある。
「可愛い女の子いますよー。」
「お兄さーん。」
聞こえてくる呼び込みの声。
光輝く看板にネオン。
その間を様々な人間が歩く。
ほとんどがまともな人間ではない。
サラリーマン等がいるが、皆女目当て。
まともと言えようか。
ドンッ――
そこでもぶつかる肩。
「ガキ、アブねぇだろうが!!」
叫ぶ酔っぱらったオヤジ達。
「あ?」
振り向いたギラリと光る目。
「…す…すいません。」
酔いが一気に冷めた。
思わず頭を下げるオヤジ。
「……そんな言葉いらねぇから…くれよ。」
煙草を口から放し、煙を吐き出しながら手の平を出す。
「は?」
「金に決まってんだろ?」
宮田の眉間にシワが刻まれる。