第10章 喧嘩王子
「テメェッ!!」
もう一人の男が殴りかかってくるのは確実。
横を向けば男の拳が。
バコンッ―――
「オェ……ブッ――」
でも胃液を吐き出したのは男の方。
死角から放たれた拳が、ミシミシと腹にめり込んでいる。
ドサッ―――
倒れる男。
「な……なんだこのガキ――」
逃げるハゲ。
「あー……つまんねぇ。」
バコッ――
倒れた男を蹴飛ばし、仰向けにする。
「やめ――。」
男は口を開くも、宮田が馬乗りになる。
バコッ――
ドガッ――
ゴシャァッ――
聞こえてくる肉の擦れる音。
血飛沫が飛んでいる。
「アガッ――オベッ――。」
男の苦痛の叫びが辺りに響く。
「………っ――。」
通行人がそこを避ける。
「あー……おもしれぇ。」
ゴガッ―――
再び拳がめり込んだ。