第10章 喧嘩王子
「……あー、その顔けっさく。」
プッ―――
吸っていた煙草を女達の上に吹き捨てた。
「オメー等見てぇなケバくて尻軽でも可愛がってくれるような男探せよ。」
そう言って笑いながら歩き出す宮田。
足取りが軽やかだ。
「女よりも喧嘩が一番だよなぁ、あの殴る時の感触。骨の折れる音…たまんねぇ。」
つり上がる口角。
出てくるヨダレを袖で拭う。
すると目の前に見える、格好の獲物。
宮田の目が光る。
「オジサンッ!!」
体格の良いチンピラのような身なりをした男に声をかける。
「あ?」
「中坊か?」
宮田を見る厳つい風貌のハゲと短髪。
「道に迷ったんだけど教えてくんない?」
ニコニコと笑う宮田。
「ガキが自分で調べろや。今時の中坊はケータイぐらいもってんだろ?ママにでも――」
ガシッ――
掴まれる大柄のハゲの男の腕。
「オジサン頭いいね。お礼に…」
バキボキゴキ―――
反対方向にネジ曲がる腕。
「ぎゃあぁぁああ!!」
叫ぶ男。
「あー……わりぃわりぃ、折っちまった。」
ヘラヘラと笑う宮田。