第10章 喧嘩王子
「………。」
再び前を向いた宮田が歩き出す。
そして角を曲がる。
「……クッククククク―――。」
突然、宮田が笑いだした。
クシャリと髪を掴む。
「さいっ……こう――!!」
宮田の声が空に響く。
ジロジロと下校する生徒達が彼を見ていた。
「清治くぅ~ん。」
すると後ろから聞こえてくる媚びるような猫撫で声。
振り向けば、化粧の濃い制服を着た派手な女達が走ってくる。
進藤の取り巻き達だ。
「ねぇ、一緒に帰らなぁい?」
「皆で楽しいことしようよぉ。」
ベタベタと身に張り付く女達。
まるでそこら辺に生えている、身体に引っ付く草と変わらない。
中身も。
今まで中坊だからとバカにしていたくせに、進藤を倒した瞬間態度をガラリと変えて。
――とんだ尻軽女共だ。
宮田は鼻で笑った。
「ねぇ――」
バシンッ――
振り払う手。
自身から女達を引き剥がす。
地面に倒れる女達。
「いたぁい……どうしたの急に――」
「お下がりなんざ興味ねぇんだよ、尻軽女共。病気移されたくねぇから二度と俺に近づくんじゃねぇゾ、わかったか?」
上から見下ろしながら、ドスの効いた声で吐き出す。
「………。」
悔しそうに宮田を見る女達。
けれど何も言わない。
いや、言えなかった。
恐くて。