第10章 喧嘩王子
同じ頃。
「チィーッス!!」
校門を出ていく中学生の宮田に、頭を下げる学校の不良達。
今日からついた親衛隊の男達が彼の後ろを歩いている。
皆高校生。
異様な光景に普通の生徒や教師は目を疑った。
今日、いや先刻から暴走と喧嘩を好む愚連隊の頂点に成り上がった宮田。
ブチッ―――
煙草のフィルターをちぎり口にくわえる。
「火。」
「はい。」
そう言うと親衛隊が差し出すライターの火。
煙草の先端に近付ける。
「……お前等いてもつまんねーし、帰っていいぞ。」
煙と一緒に吐き出す言葉。
「しかし――。」
戸惑う男達。
「あ?…帰れって言ってんだよ、腕潰されたいんか?」
そう言って振り向いた宮田の目がギラリと光る。
「はっはい――。」
男達が逃げていく。