第10章 喧嘩王子
電車の中。
はムスッとした表情をしながら椅子に座っていた。
「で、ホントは何しに来たんだよ。」
それに触れないで誠也は言った。
「姫に会いに来たのもあるが、姫に免じてあることを教えといてやる。」
「なんだよ、その恩着せがましい言い方は。」
横目で隣に座る中村を見る。
「まぁ、聞け。お前、隣町の"死鬼(しき)"っつう愚連隊しってっか?」
「あぁ、最近勢力上げてでかくなってる奴等だろ?そのトップが進藤っつう奴で。」
「いや、今つうか今日から変わったらしい。」
「は?」
「中坊のガキが進藤潰してトップになったんだよ。」
「んな、バカな。」
中村の言葉に誠也が鼻で笑っている。
「笑い事じゃねーゾ?ソイツがかなりヤベェらしい。」
「だから?」
「こっちに攻めて来るとか危機感ねーのかよ?」
中村が真剣に誠也を見た。
「別にそんなの興味ねえよ。それよりも――」
チラリと隣に座るを見た。
「こっちのがやべーわ。」
タラリと額から汗が垂れている。
「怒った姫も可愛い。」
中村は見惚れている。