第10章 喧嘩王子
「誰がチンパンジーだ。俺は、ライオンの赤ちゃんなんだよ。」
息を切らさずに走る彼。
「どこが!?良くてマントヒヒだ!!」
中村も息を切らさない。
白の集団も普通についてくる。
いい加減にしてくれ。
そう叫びたいが、息を切らしたあたしには到底無理だ。
「でも姫はやっぱり子犬だな。」
チラチラとあたしを見ながら中村が言った。
「バカ言うな、子猫に決まってんだろうがよ。」
それに誠也君が反応した。
どうでもいいよ!!そんなの!!
そう、心の中で叫ぶあたし。
「お前……顔に似合わず結構可愛いこと言うな。」
「お前もな。」
あたしの頭上で繰り広げられている会話。
「い……いい加減にしてッ!!」
喉を振り絞って叫んだ。