第10章 喧嘩王子
「………。」
無言の誠也君。
「………。」
チラチラと見ながら、何故かあたしの隣を歩く中村。
好かれるのは嬉しいけど、学校まで来られるとさすがに迷惑だ。
「……テメェ、なにしに来た?」
中村を見ずに口を開いた誠也君。
「ひめ―――」
「消えろ。」
聞いといて答えさせない彼。
――意地が悪いなぁ。
と思ってしまう。
「テメェ、喧嘩売ってんのか?」
誠也君を睨み付ける中村。
「いや、バカゴリラの相手をしたくねぇだけだ。」
そう言って早く進む誠也君の足。
強く手を引っ張られる為、あたしもはや歩きになる。
「誰がバカゴリラだ!!」
しかし、普通に隣についてくる中村。
一番大変そうなのは後ろについてくる白の学ラン集団。
「ゴリラはジャングルへ帰れ!!」
走り出す誠也君。
無条件であたしも走ることになる。
「じゃあ、チンパンジーも帰れや!!」
中村も走る。
白の学ラン集団も走る。