第10章 喧嘩王子
並木の間を歩き、徐々に見えてくる校門。
また、群が出来ていた。
しかも白い。
「……またかよ。」
煙草を吸い終えた彼が溜め息を吐く。
「………また?」
彼を見た。
けれどそれ以上なにも言わない。
だから、あたしも聞くのを止めた。
「姫。」
校門を出て聞こえてきた声。
彼が反応しないのであたしも無視。
――姫とか誰が呼ばれているんだろう。
そうクスリと笑いながら、歩道を歩いていく。
「秋本!!何でテメェが姫と手つないでんだよ!!」
再び聞こえてくる声。
誠也君と手をつないでいる人が姫?
……て、あたしじゃんッ!!
思わず振り向いてしまった。
「姫!!」
走ってくる白の学ラン集団。
先頭はパンチパーマの男。
忘れもしない、バカな"中村"。
彼が呟いた理由がわかった。