第10章 喧嘩王子
「おつかれー。」
喧嘩を終えた後。
血に染まる顔の中にある口から吐き出す言葉。
デカデカとした態度で座る男。
その横には血だらけの男が横たわっている。
床にも血。
その血の海の中心で勝者は不気味に笑った。
「お…おつかれ様ですッ!!」
頭を下げる族の兵隊。
「あぁ。」
取り出す煙草。
へし折るフィルター。
それを口にくわえる。
「火。」
「はい。」
貸される火。
「今日までお疲れさまでした、進藤センパイ。」
そう言って煙を吐き出しながら笑ったのは、血だらけの宮田。
勝者は宮田清治(せいじ)。
もう誰も彼に逆らえない。
新たな族のトップが誕生した。