第10章 喧嘩王子
「チィース……。」
昼過ぎ。
銀髪の少年は中学……ではなく、高校に来ていた。
「宮田(みやた)、おせぇゾ?」
「なにしてたんだよ?」
柄の悪い在校生が椅子に座って彼を見ている。
「ちゅ…中学生は……。」
黒板の前で震える教師。
生徒もまた同じ。
チラチラと見るものの、目は合わせない。
「あ?ハゲは黙れや。」
目付きの悪い男が、教師を睨み付ける。
男の名前は、"進藤 和樹(しんどう かずき)"。
肩までの黒髪を耳にかけ、所々ピアスを開けている。
「で、何してたんだ?」
宮田と呼ばれた少年に再び目が向いた。
「隣町まで散歩ッス。」
そう言って座る机の上。
前の席に男子生徒がいるのにも関わらず、宮田はスニーカーのまま椅子の背に足を置いている。