第10章 喧嘩王子
「なんなんだよお前……。」
使えない片腕を押さえながら男が少年を見た。
「俺?ただの中坊。」
口角がつり上がる。
そして歩み出す足。
「だから名前聞いてんだよ!!」
少年の背中に叫ぶ。
「は?おたく等に教える義理ねぇだろ。」
まるで興味が無くなったように振り向かずに進める足。
ザッザッと靴底が音を立てる。
ポタリポタリと銀色の髪から滴る血。
「……汚たねぇ。」
指先でそれを拭う。
ジワジワと血が染みた指先を眺めブラブラと歩きながら緩む口元。
人が避けるように通りすぎていく。
「……つまんねぇ。」
少年は、小さく呟いた。