第10章 喧嘩王子
「今度はもう片方もいっちゃう?」
ヘラヘラと笑いながら少年が放した男の腕は、ぶらぶらと力なくぶら下がっている。
ただぶら下がっているだけ。
本来の意味を果たしていない。
「テメェ!!」
周りの目を気にせず殴りかかる男達。
通行人は悲鳴をあげそうになった。
目の前で起こった光景に。
飛び散る血。
ゴシャあッ―――
肉の擦れる音。
「……つまんねぇ。」
そう呟く少年。
無惨にも散った男たちの屍を何の躊躇(ちゅうちょ)もなく踏みつけている。
グシャあッ―――
力強く踏みつけられた足首。
「ぎゃあぁぁああ!!」
悲痛の叫び。
「あぁ、わりいわりい見えなかったわ。」
少年は笑いが込み上げて仕方ない。