第10章 喧嘩王子
人の波に逆らうように歩く白いスニーカーを履いた少年。
整えた銀色の髪がサラサラと揺れる。
「クッ……ククク……。」
歩きながら不気味に笑う少年。
人がそこを避ける。
ドンッ―――
ぶつかる肩。
「ってぇ……。」
そう呟くぶつかった相手。
「オィ、ガキ。どこ見て歩いてんだよッ!!」
チャラチャラとした高校生らしき身なりの男が呟く。
「あ、ぶつかっちゃった?俺、隣町の人間だからさ、避けてくれると思ってたんだよね、おたくらが。」
ニコニコと笑う少年。
ガシッ――
「避けるだ?中坊がフカしてんじゃねーゾ?」
大柄の男が少年の胸ぐらを掴んだ。
「別にフカしてねーし、放せよ。」
そう言って掴む腕。
ミシミシと指が食い込んでいく。
「なんだ……コイツ――。」
胸ぐらから放れる手。
食い込んだ指が更に食い込む
ゴキバキゴキ―――
変な方向に曲がる腕。
「ぎゃあぁぁああ!!」
男が悲鳴を上げた。