第2章 命の灯火
「……手術は……成功しました。じきに目を覚ますと思います。」
優しい笑みを浮かべながら、医師が言った。
「ありがとうございました!!」
遥香が立ち上がって頭を何度も下げた。
皆の顔が喜びに満ちている。
「良かったなお前!!」
笑いながら堀田が誠也の頭を豪快にかきみだした。
そして、背を向けて歩いていく。
「どこいくんだよ!?」
その背に誠也が問う
「地元に帰るよ。もうここにいる必要も用事も無くなった。 ちゃんによろしくな。」
振り向かずに手を上げて去っていく大きな背中。
「ホンマ変なヤツやったな。」
加藤が呟く。
「あ!!」
「なんだ?」
善司が突然声を張り上げた。
皆が彼を見ている。
「ションベンのケジメつけさせるの忘れとった!!」
「くだらん。お前事態が尿まみれみたいなもんだろ。」
「誰がションベンまみれジャ!!ワシャちゃんと風呂入っとるわ!!嗅いでみるかッ!?」
「遠慮しておく、鼻が曲がりそうだ。」
宗次郎が鼻を押さえている。
「おどれは…ドタマぶち抜くぞッ!!」
「やかましいッ!!」
董次郎の叫び声が響く。
「はい……。」
善司が小さくなった。
皆がそれを見て笑った。