第9章 女子高生ハンター
野獣の恐ろしさは尋常ではない。
この学校の教師達の中では有名である"放り投げ事件"。
あのいまいましい出来事は彼の中で鮮明に刻み込まれている。
忘れもしない、去年の春の事。
女子生徒をハンターし終えた後、校舎の横を通っていたとき、空から降ってきたモノ。
よく見れば人。
上を見ると、四階の一年の教室から次々と放り出されている。
しかも、皆"ヤ"のつくお方。
下が芝生の為かろうじで生きている。
でも血だらけ。
再び上を見れば、赤い髪と光る目、そして牙。
獣がそこにいた。
しかも、獣はヘラヘラと笑っている。
人を投げたというのに全然恐れていない様子を見ると、橘の方が恐怖を抱いた。
それが野獣の恐怖伝説の始まり。
次々と事件が起きるが全て問題にならなかった。
何故ならなかったかと言うと、
「秋本君は僕を守るためにやってくれたんです。」
と言う男子生徒がしょっちゅう来ていたから。
野獣と一緒に。
職員室に来る弁解をする男子生徒の後ろには必ず野獣が潜んでいた。
だから教師も何も言えなかった。
何故なら殺されたくないから。