第8章 チョメチョメ泥棒
「待てコラァッ!!」
慌ててスニーカーを履いた誠也が、玄関を飛び出し走る。
相手はずっと遠くにいる。
相手も走っているようだ。
「逃がすかぁああ!!」
尋常じゃないスピードで、靴の底がアスファルトを蹴っている。
どんどん縮まる距離。
彼の鍛えられた肉体がここでも活躍していた。
「ハァハァハァハァ……。」
聞こえてくる犯人の荒い息。
ノロノロと走っている。
運動は苦手なようで足が遅い。
「うおらぁッ!!」
飛びかかる誠也。
「うわぁッ!!」
ズササササァ―――
捕まえた男と共に勢いよく地面に倒れる。
「……桜の下着盗むなんざ百年はえーんだよッ!!」
そう言って勢いよく男の胸ぐらを掴む。