第8章 チョメチョメ泥棒
「えー、改めて下着泥棒についてだ。」
戻ってきた誠也の顔には赤い紅葉が咲いていた。
そして、顔を背けながら下着を握る桜。
皆は悟った。
何が起きたのかを。
だけどその事には誰も触れない。
バカな三善さえ触れない。
「最近多いらしいからな。」
藤崎が苦笑しながら言った。
「つっても、捕まえないとまた盗られるかもしんねーぞ?」
そう言った西村は三善を見ている。
「いや、だから俺じゃねーって!!」
必死に訴える三善。
「…明日休みだしよ、下着干して待ち構えといたらいんじゃね?」
黙っていた竹井が口を開いた。
「おっ、タケ頭いい!!」
皆が賛同する。
「じゃあ、明日8時集合!!」
「はえーよ!!」
「あ?」
三善の言葉に誠也の目が光る。
「いえ…なんでもないです。」
それを見て黙る三善。
「じゃ、解散。」
誠也はそう言ったが誰も動かない。
「解散……。」
彼の声が虚しく聞こえた。