第8章 チョメチョメ泥棒
「これはさっきここで拾ったんだよ。」
戻ってきた三善先輩はボロボロだった。
でもいまだにあたしの下着は握っている。
「やかましいッ!!つか、いつまで持ってんだよ!!」
それを誠也君が取り上げて、渡されるかと思いきや今度は彼が握っている。
「女の下着を盗むなんざ最低なんだよ!!」
叫ぶ誠也君。
手にもった下着を握りしめながら。
人の下着を持ってる人が言っても説得力ないですけどね。
あたしは白い目で彼を見た。
「返してくれよ、天からの贈り物~。」
三善先輩が必死に取り返そうとしている。
「バカッ!!」
ドガッ―――
三善先輩の頭を殴る大川先輩。
「これは俺の女のなんだよ!!」
下着を握りしめる誠也君。
「……ちょっと来て。」
「なんだよ桜?」
誠也君と一緒に廊下に出る。
部屋を出るときのあたしの顔は、それはもう恐ろしかったらしい(先輩談)。