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レッテル 2

第7章 壮絶なる争い


「………。」

黙ってすわるベッドの上。
勇人君が泊まりに行っているため、今日はそこにいるのはあたしだけ。
誠也君はシャワーを浴びると、部屋で黙って傷の手当てをしている。
先程から会話はない。
耳に入るのは時計の音と深夜番組。
しだいに寂しくなる心。
うずくまる身体。

――あたし間違ってなかったよね?

自分の行動を疑ってしまう。

「………。」

ふと顔を上げると、彼がジッとあたしを見ていた。

パタン―――

救急箱を閉める音。

キィ―――キィ―――

迫ってくる彼。

ドクドクドクドク――――

心臓が高鳴っている。

「……ごめん。」

目の前に来た彼が吐き出す弱々しい言葉。
彼にそぐわない言葉に、胸が熱くなる。
それが、どんどん上へ上へと込み上げてくる。

「……俺さ…あんまり覚えてねぇけど……お前に叩かれて、またやっちまったんだって思った。」

キシィ―――

彼があたしの隣に座った。
背中に触れる大きな手。

「でもさ…お前を守りたかったんだ。」

そう言って力なく笑う顔。
確かに笑いながら殴る彼は嫌いだけど、"大嫌い"と言ってしまったことに後悔した。

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