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レッテル 2

第7章 壮絶なる争い


ドクドクドクドク――

速く鳴る心臓が奇跡だと叫んでいる。
目の前に迫る大きなタイヤが、悔しそうにしている。

また味わってしまった恐怖。

「なんなんだよ……ちくしょうッ!!」

悔しくてバイクを叩いた。
腫れた顔の中にある小さな目からこぼれ落ちる熱いもの。
なぜ溢れたのか、彼は理解出来ていない。
けれど、せき止められないそれ。
服の袖で拭っても拭っても溢れ出てくる。

「……このまま、終わってたまるか。」

小さく吐き出す言葉。

ゴオォォオオ―――

走り出したトラックの音に消えていく。
彼を照らしているのは信号機の明かり。
大きな男は、そこで似合わない涙を流しながら小さく泣いた。

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