第7章 壮絶なる争い
「クソがッ―――」
霞(かす)む視界の中。
なんとか警察を撒いた高嶋は、バイクで町を走っていた。
"敗北"
重くのし掛かる現実が、彼のプライドを傷つける。
思い出すのは、鬼のような赤い髪の男の顔。
久々に涌き出てきた恐怖。
それと同時に、悔しさも彼の中に充満している。
だからこそ、自分でも気付かないうちに上がるスピードメーター。
速ければ速いほど、遅く見える景色。
早く気づくべきだった。
自分のすべての行動が自分自身の首を絞めている事に。
でも気づいた時にはすでに遅い。
パァァアアン―――
前を横切るのは大きな貨物を運ぶトラック。
キイィィィ――――
必死にかけるブレーキ。
ズササササァア――――
地面を擦るタイヤ。
「あぶねぇだろうがッ!!」
叫ぶトラックの運転手。
「ハァハァハァハァ………。」
呼吸が乱れる。