第7章 壮絶なる争い
皆の動きが止まった。
驚いたように見ている。
彼の頬を叩いたあたしを。
「やりすぎだよ……。」
震えるあたしの声。
唖然とした彼があたしを見ている。
手を止めて。
「高嶋は最低だし…大嫌いだけど…でも、笑いながら人を殴る誠也君も…大嫌いッ!!」
そう吐き出したあたしは彼に背を向けてゆっくりと歩き出す。
争いは好きじゃない。
人を殴るのを見るのはもっと。
でも争わなければならない時も、殴らなくてはいけない時もある。
だけど、笑って人を殴る行為は最低だ。
たとえ、相手が高嶋みたいに最低な奴でも。
でも所詮、それは"綺麗事"。
世間はそう言って笑うのかも知れない。
だけど、大好きな彼には間違ったことをしてほしくない。
そう思うのはいけないことだろうか。
溢れ出す涙を流しながら歩く。
行く先も定まらぬまま、ただ歩いていた。