第7章 壮絶なる争い
「せい…やくん。」
目の前の光景に恐怖さえ覚える。
彼が彼じゃ無くなっている。
いつもの優しい彼が、あんなに楽しそうに人を殴るなんて想像もしていなかった。
これが、世間で恐れられる理由なのか。
"俺…キレると見境なくって――"
前、彼が言っていたのを思い出した。
――止めなきゃ!!彼を止めなきゃ!!
踏み出す足。
「行っちゃダメだ!!」
叫ぶ藤崎先輩。
だけど、先輩の声さえも耳に入らない。
「止めて!!もう…止めてッ!!」
彼の前で叫ぶ。
バキィッ――
ゴシャアッ――
とれでも止まらない拳。
飛び散る血。
あたしに吹きかかる。
「やめろ!!誠也ッ!!」
「総長それ以上したら―――」
走り出す極使天馬の人達。
必死で彼を止めている。
「邪魔だ!!テメェ等!!」
それを彼は振り払いなおも殴ろうと拳をあげる。
「邪魔すんじゃ――。」
パシンッ―――
乾いた音が響いた。