第7章 壮絶なる争い
「誠也君!!」
でも唯一、だけが誠也に近付いた。
高嶋の恐怖を乗り越えて。
「……誠也君。」
誠也の特攻服を掴みながら、ポタポタと流す熱い涙。
「誠也君!!」
彼女の声だけが静かな辺りに響く。
その姿を見て、皆自分の力の無さに悔やんだ。
ギュッと拳を握っている。
「次はお前だクソ女(あま)。」
背後から忍び寄る魔の手。
けれど、彼女は気づいていない。
「ちゃんッ!!」
バイクを飛び降りて走る藤崎。
ガシッ――
でも、間に合わなかった。
高嶋の大きな手が、再びの綺麗な髪を鷲掴んだ。
「離して!!」
歪むの顔。
ポロポロと涙が出ている。