第6章 挨拶参り
「テメェ……。」
中村が拳を握っている。
こめかみに青筋を浮かべ、力の入った目が誠也君を睨み付けた。
「やんのか?俺は別にかまわねぇが…どうすんだよ?」
低く唸るように言った彼の目が恐い。
「せ…誠也君。」
今にも喧嘩してしまいそうな雰囲気に、あたしは困惑してしまう。
「大丈夫だ、心配すんな。こんな奴に―――」
ガシッ―――
煙草をくわえた誠也君が、中村の胸ぐらを掴んだ。
シュッ――
宙に浮く巨体。
ドカぁッ―――
弧を描くように地面に激しく叩きつけられた
「ぐはッ―――。」
中村が唾液を吐き出す。
「マジかよ……。」
息を飲む周囲の人達。
「負けねぇからよ……な?」
煙草を口から放した彼が、あたしの方に顔を向けニイッと笑う。
「うんッ!!」
あたしも思わず笑った。
「さすが総長!!」
「マジ男ッス!!」
兵隊達が感動したように涙を流している。
流石にそれは大袈裟だと思う。
彼が頭を掻いた。