第6章 挨拶参り
「…中村ァ、なんの用だよ?」
彼が目の前の背の高いパンチパーマの男を睨み付ける。
「テメェ、よくも――」
「待て。」
手下が騒ぎ始めたのを中村が制した。
「久しぶりだなァ、秋本。」
そして、前に出てきた中村が彼の前に立って見下ろす。
「夏の抗争ぶりか?」
彼が笑いながら中村を見ている。
「何がおかしいんだ?あ?」
中村の眉間にシワがよった。
「別に。」
いまだに笑っている。
ガシッ――
「そういう所がムカつくんだよテメーは!!」
中村の大きな手が誠也君の胸ぐらを掴んだ。
「あ、そう。そら悪かったな。」
フゥーと吐き出される煙草の煙。
―――たまに誠也君って性格悪くなるなぁ。
隣で立っていたあたしは、彼に目を向けた。