第3章 ハイエナ系男子
「ねぇ」
何の前触れも無く、彼女の爆弾発言は投下された。
「私を、何処かに連れて行って。
家から。私と彼がいたところから離れたい。」
懇願するような瞳でこちらを見る。
「うん。」
何も言えずに、チャンスでさえあるその提案を断れるはずが無かった。
自分のいつも聞いているジャズ以外には両者の息の音しか聞こえない車内。
彼女はどこに行くの、だとかいうことは聞いてこなかった。
だから自分の家に連れて行こう。そんな答えにたどり着いて事を勧めていた。
これからのことなんて分からない。
彼女があいつとヨリを戻すんなら諦めるしかない。
でも足掻きたい。
最近、そればかりしか考えられなかった。