第3章 ハイエナ系男子
彼女の部屋を数回ノックする。
すると彼女は数分後静かにドアを開けた。
僕のほうが身長は高いから彼女は腫れた目で僕を見上げるけれど、それすら可愛いと思ってしまう可笑しい僕。
「おはよ、千尋」
「...ん」
そんな数少ない言葉を交わして僕は彼女の家に入れてもらう。いつものように。
「調子どう?」
微笑みながら彼女に問いかける。
返事は「大丈夫」の一点張り。でもそれじゃあ肯定しているのかも否定しているのかも分からない。
どうして僕は毎日ここへ通っているのだろう。
ふと、そんなことを考えた時があった。
でも僕はひとつの考えに辿り着いた。
ああ、今が狙い目なんだって。
残酷かもしれないけど、僕は千尋の元彼なんて知ったこっちゃない。
僕は千尋を僕だけのモノしたい。そんな独占欲さえ沸く。
傷ついた彼女にね。
寂しくなった彼女は男の人を少し怖がるようになってしまったけど、僕は強引に抱き寄せる。
「大丈夫」
と、彼女と同じように。