第7章 これが恋。[ドルイット]
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ドルイット子爵side
私は今までに沢山の女性を
抱いてきた。
貴族の中では
無類の女好きのように
言われてきた。
だが、それは
女性を見方につければ
大抵のことは許されると知っているから。
愛や、恋なんかではない。
ただ、好かれようと
必死になって、
捕まえてしまえばこちらのものとして
売りさばいているだけ。
世の中を上手く渡っていくための
ちょっとしたテクニックである。
多くの人々は、
私を馬鹿だと思っている。
大きく間違っている訳ではない。
しかし、そのなかには
計算も大きく含まれている。
今回、彼女をとらえたのもそう。
女好きだからというレッテルを
上手く利用して
強引に彼女をリアンの腕から引き剥がし
おぼつかない脚で踊る彼女を
いつもの甘い声で誘惑する。
リアンがいつも
美しいと自慢していた妻は
想像をはるかに上回った。
私が惚れてしまいそうだった。
目をさましてからも
鳥籠に捕らえられたその姿は
何かのポスターのように
美しく、健気で、いとおしかった。
彼女の潤った唇で語られる
言葉一つ一つは
今にも消え入りそうで
悲しかった。
こんなに、感情が沢山
溢れ出るのは
初めてだった。
私は彼女を幸せにしてあげたいと
思った。
彼女の縄をほどいて
キスをする。
強がっていた彼女も
泣きそうな顔になっていた。
それほどまでに、
恐ろしい目にあってきたのだろう。
私は小さく震える
美しい姫君を
ギュウと優しく抱き締めた。
これが、
恋だと信じて…
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次の日。
鳥籠の中では
可哀想だったので、
私の部屋のソファに座らせ、
紅茶を淹れてあげた。
『んっ…!!
美味しい…//』
喜ぶ彼女の顔を見ると
私まで笑顔になった。