第6章 軽男の本音 [ロナルド]
「え、ちょ、おい!!」
泣きそうな顔を見られたくなくて
素早く振りかえって
走って人混みの中に
逃げ隠れた。
「俺…まずいこと
しちまったか??」
「まったくだよ…」
男の人とロナルドさんの間で
こんな会話があったことなど、
知りもせずに。
**
人混みを抜けて、
公園のベンチで
1人、泣いていた。
『ぐすっ、
わたし…っ、
嫌われちゃった…かな、っ…』
ロナルドさん、
トモダチとも言ってくれなかった。
ずっと
私みたいな女、
セフレにしてもらってるだけ
ありがたいと思わなきゃ
って
言い聞かせてきた。
それでも辛いときはあった。
後輩なんて…
私はトモダチ以下ということ?
そんなの…酷いよ…っ、
涙が止まらなくて
ずっと泣いていると
「?」
と声をかけられた。
『…??』
涙でぐしゃぐしゃの顔を
上げると
メガネをクイッとあげる
私の幼なじみの男がいた。
『ウィリアムくん!?』
ウィリアムくんは
幼なじみといっても
近所のお兄さんといった感じだった。
小さい頃から
彼のうしろを付いて回っていた。
私のひどい顔をみて
「どうしたんです!?
泣いていたのですか!?」
驚いて、慌てている。
『う、ううん、
ちょっと、ゴミが目にはいって
取れなくて…//』
ウィリアムくんには
こんなダメな女に育っていることを
知られたくなかった。
ウィリアムくんには
昔、告白されたことがあった。
私が死神協会に入社したときのことだ。
多分、ウィリアムくんなら
私を幸せにしてくれるし、
私もウィリアムくんのことが
好き。
けど、
この好きは、恋愛対象の好きではない。