第6章 軽男の本音 [ロナルド]
「あー…
やっぱそうなんだ?」
「うん。
それに、
前、誰かと話してるの
聞いちゃったんだけど
こんなことしてる割に
大本命がいるんだって。
だから本気になるだけ無駄ー?」
アイシャドウを
塗りながら
ペラペラと話をする
二人の後ろで
冷や汗をかいている
私がいた。
やっぱり、
都合のいい女…
だったんだ。
分かっていたけど
辛い現実だった。
大好きと言ってくれた唇も
私を乱していく指先も
私を気持ちよくしてくれたすべてが
まやかしだったのだ。
二人の会話はまだ続いた。
「えぇー?
そうなんだ?
誰だろ?」
「さぁ?
私らみたいなトモダチの間では
すごいスレンダーで美人な
大人の人なんじゃないかって
言ってるけどね、
でも、なんか
6日にフラれた~とか
言ってた気がする。」
「えぇ!?
ロナルドくんフる人とか
いるんだ?」
「んー、
なんか、フラれたっていうか、
男と一緒に歩いてるのみたから
諦めるって…」
「へぇー、
まぁ、ロナルドくんが好きになるほど
なんだったら、
彼氏いてもおかしくないかー」
『……』
6日…
私がロナルドさんに
ぶつかった日の前日だ。
ロナルドさんは
本命にフラれて
むしゃくしゃしてたんだ。
誰でも良かったんだ…
そう考えたら
涙がこぼれてきた。
けど、
私はこの関係を
終わらせられる勇気なんてなかった。