第5章 変貌 [劉]
朦朧とする意識のなか
こんな会話が聞こえた。
私を捕まえていた男達が
バタバタと
倒されていく。
その後ろ姿に
見覚えがあった。
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「バーカ!
弱虫~!泣き虫~!」
『やだ!!!!やめて!!
そのお花返して!』
小さな頃
しょっちゅう虐められていた
私は、
「ちゃんを
虐めるヤツは
僕が許さないよ。」
彼にいつも守られていた。
「うわぁ!!
化け物だぁー!!」
彼が守ってくれるたび、
彼は傷ついていたのに、
私にはなにもできなかった。
『ぐすっ、ありがと…』
泣き止まない私に
彼はいつも。
「大人になったら、
僕、ちゃんを
お嫁さんにもらうね。」
と言ってくれた。
私もこの言葉を聞くと
笑顔になれた。
そんなある日、
私の家が強盗に襲われる
事件が起こった。
目の前で父と母を殺され
私まで殺されそうになったとき、
また、守ってくれる
男の子がいた。
けど、彼もまだ子供。
私より先に殺されそうになった。
なんとか、
市警が駆けつけて
助けてくれたけど
私たちの心の傷は
癒えることはなかった。
『………ほんとに
行っちゃうの…?』
「うん。
僕、もっともっと
強くなって、
ちゃんを守れるような
強い男になって
迎えにいくから。
ちゃんは僕と暮らすための
花屋さんになって待ってて。」
これが、彼と交わした
最後の言葉だった。
**
頭がズキズキと
痛むなか、
私を庇う背中に