第4章 飼い主[ウィリアム]
このときから
私の頭には
嫌な考えが浮かんでいた。
彼女は私のことを
恋人ではなく、
便利な道具としか
思っていないのではないかと。
暖かい寝床や
おいしいごはんにありつける場所だと。
シたいときは
相手してくれる。
生活には困らない。
家に帰ってこないのも
他の男と遊んでいるからかも…
いや、
憶測で物を考えるなんて
私としたことが。
変なことを考えるのは
やめよう。
テレビを見ながら
ゲラゲラ笑う彼女を見ながら
一人悶々とする私だった。
**
共同生活が始まって
3ヶ月が過ぎた。
彼女は相変わらず
であったが、
それなりに
楽しく過ごしていた。
そんなある日。
私が職務を終え
帰っていると、
の声が聞こえた。
『ありがとー!!!
また今度埋め合わせするから!!!
また明日ね~♪』
段々声が近くなって
家の前の曲がり角に
差し掛かったとき、
赤い車の運転席に座る男と
楽しそうに話す
が見えた。
とっさに
隠れる私。
なんで私が
隠れなければならないのでしょうか。
……というか、
今のって…
**
ガチャ
家に帰ってみると、
『あ、お帰り~♪』
いつものように
笑う。
いつものこの笑顔も
他の男と会った後のもの
だと思うと虫酸が走る。
「えぇ…。」
『どうしたの?
具合、悪い?』
私の気など知りもせずに
心配そうに顔を覗き込む彼女の顔を
見る気になれなかった。
「なんでもありません。」
私はふいっと
顔をそらし
自室へ逃げ込んだ。